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63 ギブ&ギブの人々 01「50年間、無料で食べ物を配り続ける」

私(店主)が、「ギブ&ギブ」「贈与経済」に興味が湧いてときに読んだネットの記事です。筆者の土居彩さんは編集者、ライターで、14年間勤務したマガジンハウスを退職し’14年12月よりサンフランシスコに移住し大学を目指しながらの、様々な体験をリポートしています。地代の高いサンフランシスコで野菜や果物を育てながら、無料で食べ物を配り続けるツリーさんという老人を訪ねた時のお話だそうです。https://ananweb.jp/column/sanfrancisco/35584/

 

50年間サンフランシスコのど真ん中で、無料で食べ物を配り続けるツリーさん。

 「静かなときが流れる庭にはアーティチョーク、栗、アボカド、プラムにナッツと、食べられる植物もたくさん植えられています。世界で3本の指に入るほど地価が高いと言われるサンフランシスコのミッション地区。そんな場所でこれほど広大な庭を開放している人とは一体どんな人なのでしょう? 収穫した作物や肥料などもすべて無料で人に提供し、野菜や果物の栽培法も無償で教えているといいます。さらには毎週日曜日にこちらでの収穫物に加えて、近くの庭やさまざまなファーマーズマーケットなどから余った食べ物を集め、公園で無料配布しているとか。」

『ただお腹をすかせた人に食事を配りたかったんです。とにかくやりたいことだった、“人に食事を提供すること”を本能に従ってやり続けてきただけ。だからキャリアを積み重ねてきたというのとも違います』。

 

お金のことも仕事のことも考えず、ただ自分の心に従って生きてきたと言います。

 

『どうして“食の提供”を50年以上も続けられてきたのかよくわからないけれど、ひょっとしたら自分の天命だったからかもしれません。私が大切にしてきたのは、自分の心が何に向かっているかということ。つまり、信念を生きることです。ただ必要な人に食料を配り、配る私たちも喜びを持って行っています。何も特別なことはしていません。苦しんでいる人がいれば、助けるという人間としての当たり前のことをしているだけ。それで今まで生きてこられました』

ツリーさんが無料で食料を提供するのにはもうひとつ理由があると言います。それは労働力を商品化して私有や営利を原理とする資本主義経済ではなく、与え合いや支え合いがベースになる贈与経済に基づく考えによるもの。

 

『食物は命です。あまりに尊いものだから、私にはとうてい値段なんてつけられません。私たちは太陽の光、空気や水、そして食物という命のエネルギーをいろんなところからもらって、それを皆のために使うために生きているんです。つまり、私たちの存在は、ただ大きなエネルギーの流れにつながっているだけ。自分のところでそのエネルギーの循環を止めたくないのです。だから受け取ったものは次にパスするのです』。

 

世の中にはこんな方がおられるのですね。これこそ究極の「ギブ&ギブ」。