· 

62 公と私の境界が面白い

ネットで「無料コーヒー」を検索していたら、なんと、だいぶ前から移動カフェで無料コーヒーを提供している方々を発見しました。

 

「建築ジャーナリストの田中元子と大西正紀との2人のユニットMOSAKI。二人は建築系の取材やコラムを書くことを本業としながら、建築の楽しさを伝えることをライフワークとしています。その活動の幅は広く、2012年から始めた「けんちく体操」は多くの人に知られています。これは有名な建築の写真を見せたり、実際に見学したりしながらそのかたちを数人が一組になって模倣するものです。他にも建築に関する本を出版したり、フリペーパー「awesome!」も発行、その活動は精力的です。そんな二人が昨年から始めた移動式のコーヒースタンド。公園やビルの前の空地でコーヒーを無料で配るという活動です」http://www.mosaki.com/stall/

 

「こうした活動を通して彼らは「マイ・パブリック」という新しい考え方を提唱するようになります。パブリックスペースを他人のもの、公共のものと考えるのでなく、自分のものとして考え、そこに積極的に関わっていくと街は楽しくなるという考え方です。その考え方は彼らのオフィスにも表れています。神田の細い路地にある路面店舗なのですが、いつもガラスの引き戸を開け放ち、だれもが気軽に入れそうなオフィスです。とは言っても知らない人がいきなり入ってくるわけではなく、そこにあるパブリックとプライベートの微妙な境界線をどう変えていくのかというあたりに、彼らの関心はありそうです。」

「マイ・パブリック」ですね。実は私は毎週、新横浜駅前公園と道路の草取りとゴミ拾いをやっています。数年前の早朝の散歩中に公園清掃をする男性と話す機会があり、撮った写真をメールで送ることにしました。別れ際にその方がつぶやいていました。「転居するので、誰か引き継いでくれないかな」。聞こえない振りをしていると、ある日、その方から電話があり「今、ちょっと公園に来ていただけますか」。公園に行くと、男性と横浜市の職員が立っており「この方が引き継いでくれそうなんですよ」市の職員は「それはありがとうございます。くれぐれも無理せずやってください」。「???」。流れに任せて清掃をし続けると、公園や道路が自分のもののように感じて来ます。恥ずかしさも薄れ、堂々とゴミが拾えるようになりました。公園がきれいになる充実感もあります。今では私の趣味の一つです。公私混同は批判されますが「パブリックの私物化」は悪くないように思います。無料喫茶店「タダーズ・コーヒー」は、反対に私的空間の公共化です。どうやら公共と私的の境界が面白くなっていきそうです。